エピフォンSG修理その1

壊れた物を直すのは楽しいですね。前回はピグノーズギターを直しました。というわけでまた別のジャンクギターを修理してみましょう。今回はこちら。エピフォンのSGです。つや消し塗装がイカしてます。ウォームブラウンというものだそうです。

そこそこ使い込まれた感じもありつつ全体はとてもキレイで、パーツ類もそのまますべて揃っております。前の持ち主さんにはすごく大事にされていたのだろうなぁという感じが伝わってきます。ピックアップや他の部品も問題なさそうなこのSG、どの辺がジャンクかと申しますと……、

ガガーン。ヘッドが折れてしまっているのです。見事にポッキリと。ロッドカバーだけでかろうじて繋がっていたという状態です。

というわけで今回はこの折れたヘッドを修理してゆきます。もちろん折れたヘッドの修理など一度もやったことありませんが何事も挑戦あるのみ。がんばっていきましょう。

作業としてはタイトボンドを塗って圧着するという、これまでにも何度か経験のある内容。とはいえここは入念にリハーサルをして慎重にやってゆきます。

タイトボンドをたっぷり塗ってクランプを締めたら、このまま一日安静にしておきます。ガッチリとつながってくれる事を祈りつつ、次回へと続きます。

ピグノーズギター再生その2

通常のギターとしての機能が復活したピグノーズギターです。今回はこれにアンプ回路を内蔵させてゆきます。

アンプ回路なんてどうやって調達すればいいのやら? かつての筆者であれば頭をかしげていたはずですが今は違います。なぜなら以前に作った386アンプの工作がそのまま応用できるからです! やっててよかった386アンプ!(詳しくはミニアンプの工作についての書き込みを参照してください)

とはいえ386アンプで使ったスピーカーと、ピグノーズギターの内蔵スピーカーとでは定格が異なるので(ミニアンプは8Ω、こちらは4Ω)、基盤で作る前に一度、ブレッドボードで回路を組んで実験してみましょう。結果は問題なし! むしろこっちの方がスピーカーがでかいせいか、いい音が鳴っています。

では早速、基盤に回路をハンダ付けです。前回は何度か失敗してやり直しましたが、今回は一発で(ちょっとだけプチ失敗しましたが)うまくいきました。

回路ができたので、ギターに組み込んでゆきましょう。配線はいろいろ考えなくてはなりません。ボリュームポットについているスイッチ回路とどうつなぐか……? やはりここは、ツマミが押し込まれている時は通常のギターモードのみで、ツマミが引っ張られた時にアンプ回路がオンになり、外部出力がオフになると使いやすいですかね。

満員状態のコントロールキャビティー。スイッチ付きポットは場所をとるので、アウトプットジャックと干渉しないように向きを工夫しなくてはなりません。
アウトプットジャックの横にあるのはヘッドホンジャック用の穴です。差し当たり使う予定もないので放置してます。

配線が完了したら、キャビティーの蓋を閉じて完成です。基盤はとくに固定せず、キャビティーの中に転がし状態です。ゲイン用のボリュームポットもキャビティー内にブラリとさせたままなのですが、さすがどこかに固定したいですね。

スピーカーの裏側に転がされた基盤。ゲイン用ポットはどうにかしたい所ですね。製品のピグノーギターはどこにどうやって固定しているのでしょう?

というわけで、空っぽだったジャンク・ピグノーズギターが無事に復活できました。壊れていた物が直るというのは嬉しいものですね!

それにしてもショートスケールのギターは指板が小さいですねー。慣れるまでしばらくかかりそうです。ピグノーギターはさらにボディも抜群にコンパクトです。車で外出した時などの空き時間の練習用にいいかもしれませんね。

 

 

 

ピグノーズギター再生その1

なかなか工作をするまとまった時間がとれません。こんな時は仕事の合間にちょこちょこできることをやりましょう。

今回はピグノーズギターのジャンクを直してゆきます。ピグノーズといえばかわいいミニアンプが有名ですね。あのミニアンプがそのままボディに内臓されちゃった小型ギターがピグノーズギターです。

入手したものはボディとネックは揃っていましたが、ピックアップやボリュームポットなど電装系パーツは取り除かれていました。

とはいえ、ボディ全体はとてもキレイで殆ど新品のような状態。内臓スピーカーは残っていたので、再生はそんなに難しくはないと思われます。

ロゴや、トレードマークの豚鼻のツマミは残念ながら取り除かれてますが、全体はピッカピカ!
オリジナルのスピーカーと電池ボックスが残っていました! これはありがたいですね〜!

まずはピックアップとボリュームポット、そしてアウトプットジャックを取り付けましょう。

購入したピックアップは中国ブランドのシングルサイズのハムバッカー。びっくりするほどお手頃価格です。音やパワーは期待できませんが、このギターをライブで演奏する事はまずないので問題ないでしょう。

中華製ピックアップ。他の品物と一緒にこの状態で届きました。「箱なんて飾りですよ!」

ボリュームポットは500kのスイッチ付きのものを買いました。ビグノーズギターには本来このタイプが付いているようです。普通のポットでも使えますが、アンプのオンオフ用スイッチをどこかに付けるよりも省スペースで済むというわけです。

プッシュプルスイッチ付きボリュームポット。ツマミを引っ張ったり押し込んだりする事で回路のオンオフができます。

まずはピックアップをつけて行きましょう。ネジを回すだけで組み立てられる工作は気楽でいいですね。などと思っていた矢先、ピックアップがボディに収まらないという問題が発生…!

どうやらほんの僅かサイズが合わなかったようです。ボディのザグリを削る選択肢もあったのですが、パソコン仕事の片手間でやっていたので、ピックアップの方をカッターで削ることにしました。

仕上がりはガビガビです…。ヤスリを使った方が効率的かつキレイにできたかもしれませんね。

ちゃんと収まりました! ガビガビも見えないのでまったく問題ナシ!

ボリュームポットとアウトプットジャックを付けたら、弦を張ってテストしてみましょう。

テストに使ったのは前に作ったミニアンプです。ツマミがようやく付きました。

ジャララ〜ン♪ちゃんと鳴った! 簡単な作業とはいえ上手くいくと嬉しいものですね。

これで普通のギターとしての再生は完了したわけですが、本番はここからです。次回は、このギターのキモともいえるアンプ回路の内臓です。

自作ファイヤーバード(7)フレット計算その3

遅々として進まない自作ファイヤーバードですが、頭の中ではずっと進行中です。というのも以前に投稿した図形を使ったフレット計算方法の事をずっと考えていたわけです。そしてようやく、ふとした事からなんとなく理解できた気がしたのでここにメモしておくことにします。

おさらいします。弦の長さf1を底辺にして、1フレット目の長さを垂直線R1とした直角三角形を作った時、Rの頂点からコンパスで弧を描き底辺と交わった点からさらに垂直線R2を立てる……という作業を繰り返してゆくと、2フレット目以降のフレットの幅が求められるという不思議な方法です。

実際にやってみると、どうやらその通りになるらしい事は判ったものの「一体なぜ?」という疑問だけが頭の隅に残りずっとモヤモヤしておりました。もしかしたら筆者の頭脳では理解できない複雑な理由なのか……? などとも考えました。

しかし、ある時(昨日の夕方)突然、以下の内容がひらめきました。

「この図は、いくつもの直角三角形が重なったものである」

「さらに、対となる垂直線Rと底辺Fの比は常に一定である」

フレットの幅を求める計算方法は前の投稿を参照していただくとしまして……1フレット目の幅は解放弦の長さに(1−0.94388=0.05612)をかけた長さ。さらに、2フレット目の幅は1フレットを押さえた時の弦の長さに同じく0.05612をかけた長さ。3フレット目の幅は2フレットを押さえた時の長さ×0.05612となります。

つまり、この直角三角形の垂直線Rと底辺Fの比は常に「0.05612」なのです。垂直線と底辺の比が同じ直角三角形の場合、底辺の直角ではない方の角の角度は常に一定ですから、全ての三角形を重ねると上記の図になるというわけです。

解ってしまえばとてもシンプルです。しかしとはいえ何もない所から思いつくものではありません。『それぞれのフレットの幅と、弦の長さの関係』に目をつけ、それを直角三角形にしてみる……といった感じで考えたのでしょうか。この方法を見つけた人はすごいです。とにもかくにも、これでようやくスッキリした気持ちで先へ進めそうです! やるぞ!

ちなみに、今回これを思いついた時に読んでいたのがグレッグ・イーガンの『シルトの梯子』でした。昨年暮れから読み始めたものの中々進まずまだ序盤で、さらに他のイーガン作品同様何が書いてあるか判らないことだらけであるにも関わらずとても引き込まれます。内容は別にギターのフレットの話でもなければ、三角関数の話でもないのですが、読んでいる途中になぜかふと思いついたのですから思考とは不思議なものですね。