自作ファイヤーバード(10)フレット溝その1

すごい。怒涛の連続投稿です。といっても、溜まっていたネタを書き出しているだけですが。

前回指板の木材に貼り付けた紙をガイドにしてフレット溝を掘ってゆきまきょう。

フレット溝加工。本で読んだり、ネットで調べてみると、そこそこ苦行であるらしいです。そのせいかギターワークスなどのショップでは、既に溝加工が施された指板用木材が販売されています。とても便利そう。しかしその分、お値段もそれなりに割高。高いんだったら自分でやりゃいいじゃん、となる訳ですが、それだけフレット溝加工が面倒くさい大変な工作であるとも言えるわけです。

そんなに大変なの……? 若干の迷いがありましたが、筆者としては「面倒くさい方が楽しい!」というモットーのもと、プレーンな木材を選んだ次第です。プレーンといっても、アイモクさんで買ったそれは、指板に適しただいたいのサイズにカットしてあるので、十分便利な代物です。

さて、まずは紙に書き出したガイドを元にカッター&差金で切り込みを入れてゆきます。印刷でもそうですが、紙に書かれた線には幅があります。自分的にはこの線の幅の中心がジャストになるようにと心がけていますが、なかなか高精度にはゆきません。この辺の正確さがギターの品質を左右するのでしょうね。今回の様に、手作業中心の工作では、どうしたって工程ごとに誤差というものが発生してしまうわけです。こういう遊びをしていると、どんなにお手頃価格の製品であっても、そんな誤差を最小限にして一定の品質を保ち続ける様々な分野の職人さん達を心から尊敬し、憧れてしまうわけです。

22フレットのギターなので、全部で22本の筋を入れ終えました。この作業によって、指板にスプレー糊で貼り付けた紙は役目を終え、各フレットサイズに分断されてパラパラと剥がれてゆきます。お疲れ様でした。

指板にカッターの筋が入ったら、次はいよいよこの線をガイドにしてノコギリで本格的にフレット溝を掘ってゆきます。

自作ファイヤーバード(9)指板その2

前回フレット位置を紙に書き出しました。次はこの紙を指板となる木材に貼り付けて、フレット用の溝を掘ってゆきます。

ここで賢い筆者は思いついたわけです。「せっかく頑張って書き出したんだし、コピーして使えば次も使えて省エネじゃん?」

ミディアムスケール用の指板はギリギリA3サイズでコピーを取る事ができました。コピーって便利。などと思ったその時、ある考えがふと頭をよぎります。「コピーって正確なの?」今まであまり疑問に思った事はなかったのですが、先の方眼紙の件もあり世の中が信じられなくなっていたせいもあり、チェックしてみたところ……ぜ、全然違う! 原本に比べコピーの方が僅かに(全長の1ミリくらい)サイズダウンしているのです。コピー機の個体差とかもあるかもしれませんので一概には言えませんが、やはりコピーも信用してはならないと知りました。勉強になります。

小さくなっていても全体のバランスが合っていればギターとしては問題ないのですが、そんな確証もありません。歪んでいる可能性もあるのです。

結果。頑張って書いた原本を貼り付けるしかないという事に。次はイラストレーターを使おうと思います。

というわけで方眼紙に書いた原本を指板の木材にスプレー糊で貼り付けました。木材はアイモクから購入した指板用のローズウッドです。次はいよいよフレットの溝を掘ってゆきますよ!

自作ファイヤーバード(8)指板その1

更新が滞っておりました。何も工作をしていなかったというわけではなく、ちゃんと色々やっておりました。ブログの更新って大変な根気がいるものなのですね。改めてため息。でも始めたからには、もっともっと頑張りますよ。

さて今回はファイヤーバードの進捗をひとつ。指板の工作です。

あれこれ勉強したフレット位置をリラルサイズで紙に書き出してゆきます。近くのホームセンターで買って来た方眼紙に、例の方法で記してゆきます。(詳しくは過去の投稿をご参照ください)

さてさて、ここでいつものようにトラブル発生です。買って来た方眼紙ですが……何か寸法がオカシイゾ……? さらに垂直であるはずの線も……何かオカシイゾ……? 色々便利かなと思って方眼紙を使ってみたのですが、あまり正確ではないのですね。製品にもよるのかもしれませんが。勉強になりました。

直角三角形を描いてフレット位置を割り出してゆくという例の方法ですが、実際にやってみると、これもなかなか簡単ではない事がわかりました。定規で三角形を描く際に、頂点がほんのわずかズレただけで、結構な感じで値が変わってしまうのです。まあ、当たり前といえば当たり前ですよね。

結局、計算機を使って答え合わせをしながら完成。さて、この段階で間違っているとギターとして成立しなくなってしまうわけですが、自分で使うものですから、あまり神経質にならずに行きましょう。ギターが完成してもし音がアレだった時は指板を剥がして作り直せばいいだけの話ですから。

というわけで次に進みましょう。

エピフォンSG修理その4

暖かくなったかと思ったらまた冬のような寒さがやってきたり、春先というのは油断ができませんね。風邪なのか花粉なのか鼻水&頭痛と共存しながら今日も元気に工作ライフを楽しみましょう。

前回は補強材の埋め木を接着しました。まるまる1〜2日置いて幸いにもガッチリと固まりました。当たり前ですが、ヘッド裏から補強材が飛び出しています。もしかしるとこの状態のままにしておくのが強度的には一番ベストかも……などと頭をよぎりますが、弾きにくいですからちゃんと整形しましょう。

まずはカッターでジョリジョリとおおまかに削ってゆきます。今回使ったのは割とどこにでもある太めのオルファのカッターです。鉛筆削りの要領ですね。余談ですが、この手のカッターというのはどちらかというと段ボール工作とか、紙っぽい物を相手にしる時に使うイメージでした。しかし意外に木工でも十分使える事に気付きました。いや、むしろ結構使いやすいです。

おおまかに削り終えたら、ヤスリで整形してゆきましょう。うなじのような微妙なカーブを、なるべく健康な部分を傷つけないように少しずつ整形してゆきましょう。飛び出していた補強材とギターのつなぎ目がだんだんと滑らかになってゆくのは気持ちのいいものですね。

だいぶ滑らかになりました。手に持った時の感触もいい感じです。さらにヤスリをかけて表面を仕上げ、そして塗装……といきたいとこりですが、もう我慢での限界です。弾いて音を出してみたい! ううう……一度、弦を張っちゃいましょう!

はい。張ってみました。このSGは、手元に届いた段階で、幸いにもパーツも全てが揃っていたので、弦さえ張ってしまえばそのまま音が出せます。チューニングをしてみたところ、オクターブ調整もほぼできておりました。前の持ち主様が壊れる寸前まで現役のギターとして使っていらしたのでしょうね。そんな想いを巡らせながらアンプを通してみました。

いいですね。とても弾きやすい。実はSGを触ったのも弾いたのも今回が初めてです。薄くて軽くてとてもしっくり来ます。このボディの薄さ(軽さ)のせいで両手を放すとヘッドに傾いてしまうという、いわゆる『ヘッド落ち』の現象も初めて体験しました。これについては慣れが必要ですね。気をつけてゆこうと思います。

実はこの直後、スタジオ練習の予定があったので、直ったばかりのこのSGを持ってゆきました。電車の中など、直したヘッドがまた「ポキリ」といってしまわないか心配でしたが、とりあえず大丈夫なようです。塗装などもまだですし、完成ではありませんが、音が鳴らせるようになったという事でとりあえず一段落! 次のライブではこれを使ってみようかな? とも考え中です。

エピフォンSG修理その3

ようやく暖かくなってきましたね。夏になって暑くなるまでは外で工作するのも気持ちいいものですが、それはまだちょっと先ですかね。さて本格的な春を待ちつつSGの修理を続けましょう。

前回開けた補強材用の溝に、補強材を作って埋めてゆきます。補強材はメイプルを使います。SGのネックはマホガニーなので、同じ木材を使った方が手術痕が目立たないはずです。しかし先人の方々の作例を見ると、見栄えより強度を優先してマホガニーより固いメイプルを使うのがいいみたいです。

ネック製作用のメイプル材です。ちょこっと切り出します。

切り出したメイプル材を溝のサイズに合わせて整形してゆきます。現物合わせでちょっとずつ削ってゆき埋め木を作ってゆきます。

いつもそうなのですが、1個目を作る時は、もの凄く時間がかかりますが、2個目となると驚くほど簡単に出来てしまいます。やった事あるのと、ないのでは大違い。やはり身を以て経験するのが大事という事なのでしょうか。

のこヤスリで大まかに削り、紙ヤスリで修正を繰り返します。それにしても、のこヤスリでの作業は楽しいですね。

グイグイと溝に押し込んで奥までピッタリ埋まるようになったら埋め木の完成です。これらをタイトボンドで接着し、クランプで固定します。

このまま、また一日放置します。ヘッドの接着の時ほど緊張せず、気楽に作業ができました。全ての作業がこうだといいですね。さて無事にくっついてくれる事を祈りつつ次回に続きます。

 

エピフォンSG修理その2

雨が続いたり寒かったりすると、なかなかやる気が出ません。しかし暖かい季節にしかできない工作というものもありますから、先々のためにも今のうちに出来る事を頑張ろうではありませんか。というわけでヘッドの折れたエピフォンSGの修理を粛々と続けるのであります。

前回タイトボンドで圧着し、丸一日置きました。ドキドキしながらクランプを外し接着箇所を見てみます。流石タイトボンド、見事にガッチリと固定してくれたようです。しかし……

ほんのわずかな隙間が……! どうやら縦方向の位置決めが甘かったようです。クランプの固定に気を取られすぎました。反省。

はたしてこの僅かなズレが強度的にどのくらいの影響を及ぼすことになるかはわかりません。と言っても落胆する必要はありません。またいつか再びヘッドが壊れるような事があれば、また直せばいいのです。おそらくその頃には今よりもっともっと工作の腕も上がっている事でしょう!

と自分に言い聞かせながら工作を続けます。次は今回の接着箇所にさらなる補強工事を施してゆきましょう。二本のスリット溝を掘ってそこに補強材を埋め込みます。

ここで本ブログ初登場! 我が家の最狂メカ・トリマーが出撃です!

トリマー。パワフルで頼もしいヤツではありますが、そのパワーゆえ非常に制御が難しく危険な工具と言えます。正直あまり使いたくありません。しかしコイツでしか出来ない仕事というものがあるわけです。

まずはトリマーのためにガイドを作ります。透明アクリル板にスリットを開けます。このスリットがトリマーの通路となるわけですね。

トリマーにはガイドを使うためのパーツ(刃の根元部分につけるワッカの様なもの)が取り付けられますので、そのサイズに合わせてアクリルにスリットを掘ります。今回は10㎜のアクリル専用ドリルで穴を空けます。そして少しずつ位置を変え同じように穴を空けてゆき、残った出っ張りを削ってやると、幅10㎜のスリットが出来上がりました。

出来上がったアクリルのガイドをヘッド付近に固定して、補強材を埋める溝を掘ります。トリマーはパワーも凄いですが音も凄いです。山奥の1人暮らしでもない限り夜中に使うのはやめておきましょう。

どうにか大きな失敗もなく、二本の溝掘りが終わりました。次回はここに補強材を埋め込んでゆきます。

 

エピフォンSG修理その1

壊れた物を直すのは楽しいですね。前回はピグノーズギターを直しました。というわけでまた別のジャンクギターを修理してみましょう。今回はこちら。エピフォンのSGです。つや消し塗装がイカしてます。ウォームブラウンというものだそうです。

そこそこ使い込まれた感じもありつつ全体はとてもキレイで、パーツ類もそのまますべて揃っております。前の持ち主さんにはすごく大事にされていたのだろうなぁという感じが伝わってきます。ピックアップや他の部品も問題なさそうなこのSG、どの辺がジャンクかと申しますと……、

ガガーン。ヘッドが折れてしまっているのです。見事にポッキリと。ロッドカバーだけでかろうじて繋がっていたという状態です。

というわけで今回はこの折れたヘッドを修理してゆきます。もちろん折れたヘッドの修理など一度もやったことありませんが何事も挑戦あるのみ。がんばっていきましょう。

作業としてはタイトボンドを塗って圧着するという、これまでにも何度か経験のある内容。とはいえここは入念にリハーサルをして慎重にやってゆきます。

タイトボンドをたっぷり塗ってクランプを締めたら、このまま一日安静にしておきます。ガッチリとつながってくれる事を祈りつつ、次回へと続きます。

ピグノーズギター再生その2

通常のギターとしての機能が復活したピグノーズギターです。今回はこれにアンプ回路を内蔵させてゆきます。

アンプ回路なんてどうやって調達すればいいのやら? かつての筆者であれば頭をかしげていたはずですが今は違います。なぜなら以前に作った386アンプの工作がそのまま応用できるからです! やっててよかった386アンプ!(詳しくはミニアンプの工作についての書き込みを参照してください)

とはいえ386アンプで使ったスピーカーと、ピグノーズギターの内蔵スピーカーとでは定格が異なるので(ミニアンプは8Ω、こちらは4Ω)、基盤で作る前に一度、ブレッドボードで回路を組んで実験してみましょう。結果は問題なし! むしろこっちの方がスピーカーがでかいせいか、いい音が鳴っています。

では早速、基盤に回路をハンダ付けです。前回は何度か失敗してやり直しましたが、今回は一発で(ちょっとだけプチ失敗しましたが)うまくいきました。

回路ができたので、ギターに組み込んでゆきましょう。配線はいろいろ考えなくてはなりません。ボリュームポットについているスイッチ回路とどうつなぐか……? やはりここは、ツマミが押し込まれている時は通常のギターモードのみで、ツマミが引っ張られた時にアンプ回路がオンになり、外部出力がオフになると使いやすいですかね。

満員状態のコントロールキャビティー。スイッチ付きポットは場所をとるので、アウトプットジャックと干渉しないように向きを工夫しなくてはなりません。
アウトプットジャックの横にあるのはヘッドホンジャック用の穴です。差し当たり使う予定もないので放置してます。

配線が完了したら、キャビティーの蓋を閉じて完成です。基盤はとくに固定せず、キャビティーの中に転がし状態です。ゲイン用のボリュームポットもキャビティー内にブラリとさせたままなのですが、さすがどこかに固定したいですね。

スピーカーの裏側に転がされた基盤。ゲイン用ポットはどうにかしたい所ですね。製品のピグノーギターはどこにどうやって固定しているのでしょう?

というわけで、空っぽだったジャンク・ピグノーズギターが無事に復活できました。壊れていた物が直るというのは嬉しいものですね!

それにしてもショートスケールのギターは指板が小さいですねー。慣れるまでしばらくかかりそうです。ピグノーギターはさらにボディも抜群にコンパクトです。車で外出した時などの空き時間の練習用にいいかもしれませんね。

 

 

 

ピグノーズギター再生その1

なかなか工作をするまとまった時間がとれません。こんな時は仕事の合間にちょこちょこできることをやりましょう。

今回はピグノーズギターのジャンクを直してゆきます。ピグノーズといえばかわいいミニアンプが有名ですね。あのミニアンプがそのままボディに内臓されちゃった小型ギターがピグノーズギターです。

入手したものはボディとネックは揃っていましたが、ピックアップやボリュームポットなど電装系パーツは取り除かれていました。

とはいえ、ボディ全体はとてもキレイで殆ど新品のような状態。内臓スピーカーは残っていたので、再生はそんなに難しくはないと思われます。

ロゴや、トレードマークの豚鼻のツマミは残念ながら取り除かれてますが、全体はピッカピカ!
オリジナルのスピーカーと電池ボックスが残っていました! これはありがたいですね〜!

まずはピックアップとボリュームポット、そしてアウトプットジャックを取り付けましょう。

購入したピックアップは中国ブランドのシングルサイズのハムバッカー。びっくりするほどお手頃価格です。音やパワーは期待できませんが、このギターをライブで演奏する事はまずないので問題ないでしょう。

中華製ピックアップ。他の品物と一緒にこの状態で届きました。「箱なんて飾りですよ!」

ボリュームポットは500kのスイッチ付きのものを買いました。ビグノーズギターには本来このタイプが付いているようです。普通のポットでも使えますが、アンプのオンオフ用スイッチをどこかに付けるよりも省スペースで済むというわけです。

プッシュプルスイッチ付きボリュームポット。ツマミを引っ張ったり押し込んだりする事で回路のオンオフができます。

まずはピックアップをつけて行きましょう。ネジを回すだけで組み立てられる工作は気楽でいいですね。などと思っていた矢先、ピックアップがボディに収まらないという問題が発生…!

どうやらほんの僅かサイズが合わなかったようです。ボディのザグリを削る選択肢もあったのですが、パソコン仕事の片手間でやっていたので、ピックアップの方をカッターで削ることにしました。

仕上がりはガビガビです…。ヤスリを使った方が効率的かつキレイにできたかもしれませんね。

ちゃんと収まりました! ガビガビも見えないのでまったく問題ナシ!

ボリュームポットとアウトプットジャックを付けたら、弦を張ってテストしてみましょう。

テストに使ったのは前に作ったミニアンプです。ツマミがようやく付きました。

ジャララ〜ン♪ちゃんと鳴った! 簡単な作業とはいえ上手くいくと嬉しいものですね。

これで普通のギターとしての再生は完了したわけですが、本番はここからです。次回は、このギターのキモともいえるアンプ回路の内臓です。

自作ファイヤーバード(7)フレット計算その3

遅々として進まない自作ファイヤーバードですが、頭の中ではずっと進行中です。というのも以前に投稿した図形を使ったフレット計算方法の事をずっと考えていたわけです。そしてようやく、ふとした事からなんとなく理解できた気がしたのでここにメモしておくことにします。

おさらいします。弦の長さf1を底辺にして、1フレット目の長さを垂直線R1とした直角三角形を作った時、Rの頂点からコンパスで弧を描き底辺と交わった点からさらに垂直線R2を立てる……という作業を繰り返してゆくと、2フレット目以降のフレットの幅が求められるという不思議な方法です。

実際にやってみると、どうやらその通りになるらしい事は判ったものの「一体なぜ?」という疑問だけが頭の隅に残りずっとモヤモヤしておりました。もしかしたら筆者の頭脳では理解できない複雑な理由なのか……? などとも考えました。

しかし、ある時(昨日の夕方)突然、以下の内容がひらめきました。

「この図は、いくつもの直角三角形が重なったものである」

「さらに、対となる垂直線Rと底辺Fの比は常に一定である」

フレットの幅を求める計算方法は前の投稿を参照していただくとしまして……1フレット目の幅は解放弦の長さに(1−0.94388=0.05612)をかけた長さ。さらに、2フレット目の幅は1フレットを押さえた時の弦の長さに同じく0.05612をかけた長さ。3フレット目の幅は2フレットを押さえた時の長さ×0.05612となります。

つまり、この直角三角形の垂直線Rと底辺Fの比は常に「0.05612」なのです。垂直線と底辺の比が同じ直角三角形の場合、底辺の直角ではない方の角の角度は常に一定ですから、全ての三角形を重ねると上記の図になるというわけです。

解ってしまえばとてもシンプルです。しかしとはいえ何もない所から思いつくものではありません。『それぞれのフレットの幅と、弦の長さの関係』に目をつけ、それを直角三角形にしてみる……といった感じで考えたのでしょうか。この方法を見つけた人はすごいです。とにもかくにも、これでようやくスッキリした気持ちで先へ進めそうです! やるぞ!

ちなみに、今回これを思いついた時に読んでいたのがグレッグ・イーガンの『シルトの梯子』でした。昨年暮れから読み始めたものの中々進まずまだ序盤で、さらに他のイーガン作品同様何が書いてあるか判らないことだらけであるにも関わらずとても引き込まれます。内容は別にギターのフレットの話でもなければ、三角関数の話でもないのですが、読んでいる途中になぜかふと思いついたのですから思考とは不思議なものですね。