ヘッドホンの修理

SONYMDR-CD900STというヘッドホン。昔から音楽製作などのモニター用として定番とされて来ましたが、今はどうなんですかね? 我が家でも長らくお世話になってます。

このヘッドホン、音やデザインもいいのですが、個人的に何より気に入っているのが「修理用の部品が手軽に買える」ということ。およそ30年前に発売されて以来、「純正品の全パーツ」が供給され続けているのです。その気になれば、まるまるもう一個新品の同じヘッドホンを作る事もできるわけですね(もちろん完成品を買った方が安いですけど)。筆者のように出来る限り自分で直したい派にとっては非常にありがたい製品なのです。

ずっと問題なく使って来たこのヘッドホンですが、少し前に片側ドライバーユニットが故障。早速サウンドハウスさんでユニットを取り寄せて問題なく復活できました。

見えているリード線は本来、黒一本(2芯)なのですが、前回の修理の際、手元になかったためご覧のような赤黒に。これはこれで、改造したぞ感があっていいかなと。

さらに今回、ボロボロのイヤーパッドや内部のウレタンパーツなども交換することにしました。ついでにヘッドバンドの金属部分も新調します。

左が新品、右が古いイヤーパット。古い方は表面がボロボロなうえに、内側が一周、すっかり破けてスポンジが見えてしまっております。
上の黒いやつがウレタンリング(左が新、右が旧です)。ドライバーユニットとイヤーパッドの間につく部品です。新品はこの状態で貼ってから真ん中だけ剥がして取り付けます。細い輪っかなのでズレないようにする配慮ですね。(でもズレました…)下はメラミンスポンジ。オーディオ用スピーカーの後ろにはいってるフワフワのアレみたいなものですかね。ドライバーユニットの後ろ、ハウジング内に収納します。

修理派に優しい900STですが、一箇所、分解&組み立てが非常に難しい部品があります。ヘッドバンドのスライド部分付け根のプラパーツです。小さなスプリングと金属球が入っていて、これによりカチカチ……というスムーズで快適な伸長&収縮ができるわけです。ところがこの金属球が曲者でして、すぐにビョ〜ン! とどこかへ飛んでいってしまうのです。今回もかなり苦戦しました。

ヘッドバンドのスライドパーツ分解の図。この金属球とスプリングをなくさないように組み立てるのが本当に苦行。あまりやりたくない工程です。

今回ついでに交換したヘッドバンドのスライドパーツですが、実はこれ900STのものではなく、MDR−7506という兄弟モデルのもの。形状はほぼ同じなのですが、お出かけや収納に便利な折り畳み機能がついているのです。

コンパクトな収納形態。ほぼまっすぐになっていたヘッドバンドの湾曲具合も復活しホールド感も戻りました。ところが……、

さて全てのパーツ無事に交換完了です。早速、音を聴いてみましょう。

あれ? 右側から音が出ない……

まさか断線……? 恐る恐る開けてみると、ハウジング内部の配線の剥き出しの部分が触れ合っていたことが判明。組み立て直したら無事音が出ました。実は以前、ケーブルを脱着できるようにミニフォーンジャックを取り付けたのですが、その時の雑な作業が原因だったようです。

大事にしていた製品もいつか壊れてしまうもの。メーカーができるだけ交換部品を作り続けてくれるといいなあ、と心から思うのです。

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