レスポール・キット(8)ブリッジ取り付け

ブリッジを取り付けてゆきましょう。この作業はテイルピースと同じように、本体に穴を開けてアンカーを打ち込むという流れになります。早速……といきたい所ですが、その前にやる事がありました。ブリッジの取り付け位置を割り出さなくてはならないのです。

ギター製作において難しいポイントのひとつと思われるのが、ブリッジの位置決めです。ギターの弦というのは、12フレットが丁度、真ん中に来る事になっております。このレスポールのキットはすでにフレットが取り付けてあり12フレットの位置は決定しています。なので12フレットから丁度2倍の長さの所がブリッジの位置となる訳です。「何だ簡単じゃないか」と思われるかもしれません。ところが実際のブリッジの位置というのはこうした理論上の位置よりも僅かに後方になるようなのです。しかも6本の弦によってそのズレ具合はバラバラ! なぜこんな事になっているのか……まったくわかりません。何やら色々と難しい理由があるらしいです。(音の世界というのは本当に不思議なことだらけですね。そもそも自然界に存在する現象であるはずの音に「音階」なんてものがある事自体、不思議を通り越してもはや不気味です)ともあれ、そんな事情により、実際に弦を張ってみて正しい(と思われる)ブリッジの位置を探してきます。

ブリッジサドルの微調整位置をそれぞれ真ん中にして(後からでも前後に調整できるようにするためです)オクターブチューニングしてゆきます。

1弦と6弦を張ってオクターブチューニングが成立するポイントを見つけてゆきます。そしてその位置が見つかったらすかさず目印を入れます。

ブリッジポストの穴とほぼ同じ経のドリルビットで中心の印をつけます。垂直がずれないように気をつけて……!

位置が決まったら再びボール盤による穴あけ作業です。テイルピースの時の失敗の恐怖が頭をよぎります。何度も何度も確認&確認です!アンカーはテイルピースのものと同じ12ミリちょいの経だったので、今回も11ミリのドリルビットでいきました。はい。どうにか間違うことなく、狙いどおりの位置に穴があきました。早速ブリッジを取り付けてみましょう。

アンカーを打ち込み、アンカーポストを差し込んだら、ドキドキしながらブリッジを差し込みます。正しく位置決めをしてもドリルで穴をあける際に僅かにズレてしまう可能性もあります。このズレが大きいとキツかったり、最悪の場合、はまらない事もあるでしょう。(先のテイルピースは差し込む時、ほんの僅かに抵抗があってちょっとドキっとしました……)しかし今回は見事に何の抵抗もなく「カチャリ」とはまりました! 成功です!

こうしてテイルピースとブリッジの取り付けが完了です。という事は……あれ? もしかして弦を張ったら鳴るんじゃねーの? そんな考えが頭に浮かんでしまってはもう我慢できません。

というわけで急遽ペグを取り付けて全ての弦を張ってみました。はやる気持ちを抑えてチューニング。そして……じゃらら〜ん♪ おお。ギターみたいな音がする……いいえ違います。この物体はたった今、正真正銘ギターとなったのです。こうして世の中にまたひとつ、名もないギターが生まれました。おめでとうございます。